after Bush 2008 6 8

 アメリカでは、多くの人が大統領選挙という「お祭り」に夢中になっていますが、
ブッシュ政権後の世界戦略を考えておく必要があるのです。
 人間は、常に理想と情熱を持たなければならない。
しかし、理想と情熱だけでは、食べていけないのです。

ドル dollar 2004 12 31
 アメリカにおいて、イラク戦争は誤りだったと考える人が、
過半数になったと聞きましたが(2004年12月31日当時)、
これに対して、ある見方を提示したいと思います。
アメリカ政府は、イラク戦争を選択せざるを得ない状況にあったとも言えるのです。
(下記の「石油と基軸通貨」と「原油相場」を参照してください)

石油と基軸通貨 oil and key currency 2004 10 7
 イラク戦争は、石油と基軸通貨をめぐる戦いだったと思います。
アメリカでは、いまだに大量破壊兵器のことが問題になっていますが(2004年当時)、
これは、意味のないことです。
 本来の目的は、石油資源の確保にありました。
しかし、昔と違って、石油資源の確保では、戦争の理由にはなりませんので、
他の理由を考える必要があったのです。
 そこで、最初の理由として考えたのが、サダム・フセインとアルカイダの関係でした。
しかし、これは、明白な証拠が見つからなかったので、
新たな理由を探す必要があったのです。
そこで、大量破壊兵器の問題を持ち出してきたのです。
 なぜ、こうも石油資源の確保を急ぐ必要があったのか。
これは、サダム・フセイン政権下のイラクに対して、経済制裁が行われていたはずですが、
この経済制裁を守っていた国は、アメリカとイギリスぐらいだったでしょう。
他の大国は、サダム・フセインと取引をして、石油利権を確保しつつあったのです。
だから、こうした石油利権の確保に、アメリカとイギリスは、出遅れたとも言えます。
つまり、こうした「出遅れ」をばん回する必要があったのです。
 また、その他に、石油資源の確保を急ぐ必要として、
過度のサウジアラビア依存を避けたいという考えもあったでしょうし、
アメリカ人の石油の無駄遣いも、必要に迫られる原因にもなったでしょう。
さらに、アメリカ国内の石油資源が、あと何年ぐらいあるかという問題もあります。
アメリカ国内において、石油資源の枯渇の問題があるのです。
 次に、基軸通貨の問題です。
アメリカが、巨額の「双子の赤字」を続けられるのは、
ドルが基軸通貨だからです。
基軸通貨としての「ドルの地位」が揺らいでしまうと、アメリカは終わりです。
 サダム・フセインは、石油の決済通貨をユーロにしようと考えていました。
サダム・フセインの狙いは、戦争ではなく、基軸通貨だったと思います。
軍事力では、絶対に、アメリカには勝てませんので、
基軸通貨を、戦いの場に選んだとも言えます。

原油相場 oil price 2006 2 11
 アメリカでは、株式市場だけでなく、
一般の人までも、原油価格の高騰を嫌うでしょう。
 しかし、現在の状況では、原油価格が崩壊したら、
アメリカ経済も、崩壊するでしょう。
 アメリカ経済のポイントは、「ドル」と「財政赤字」です。
「強いドル」を維持し、「財政赤字による破綻」を避けなければならない。
 現在、基軸通貨は、ドルであり、
しかも、石油決済通貨も、ドルです。
 つまり、原油高の時代は、結果的に、
「強いドル」を維持し、「財政赤字による破綻」を避けることができるでしょう。
 石油決済通貨が、ドルならば、ドル相場を安定させることができ、
利便性を考えれば、オイルマネーの運用は、とりあえず、米国国債で運用するでしょう。
 そういうわけで、10年前のように原油価格が低迷すると、
アメリカ経済は、崩壊する可能性があるのです。
 また、原油高には、別の意味もあるでしょう。
それは、原油高によって、中国の覇権を牽制することができるのです。
中国は、日本のように、省エネルギー大国ではありません。
だから、原油高は、中国の覇権を抑制する効果があるかもしれません。
 もちろん、これらの見方は、あくまでも推定です。
しかし、こうした推定が正しければ、
アメリカ国民は、「原油高を放置している」として、
ブッシュ政権を批判することはできないでしょう。



















































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